借地権を売却する方法とその注意点
2023/09/22
みなさんは借地権の売却方法についてご存知でしょうか?借地権の売却は一般的な不動産の売却とは異なりますので、気をつけなければならないポイントがあります。今回は、借地権とはどういったものなのか、売却方法にはどのような方法があるのか、また、売却の際に注意しなければならない点や売却のポイントについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
借地権とは
そもそも借地権とは何かといいますと、第三者に土地の利用料を支払い、借地に建物を建てる権利のことです。土地は所有しませんが、その場所に建物を建てたいという場合に、土地を借りて自分名義の建物を建てるのです。建物がない駐車場や資材置き場などの土地については借地権は生じません。借地権を得たとしても、土地を所有することになるわけではありませんので、借地権を維持するためには地代の支払いが必要です。
逆に土地の所有者が持つ権利「底地権」と、土地を利用する権利「借地権」の両方を持っている場合に、「所有権」を有しているということになります。
借地権の種類
借地権には2種類、「貸借権」と「地上権」があります。「貸借権」では、賃貸や譲渡、リフォームをするためには地主の承諾を得る必要があります。また、抵当権をその土地に対して設定することはできません。貸借権で契約するには契約年数は20年以下と定められています。
一方、「地上権」に関しては、不動産の譲渡や賃貸に地主の許可は必要ありません。契約期間は自由に設定することができ、地上権に関しては建物と接している面だけではなく、土地の上空から地下も含まれます。
借地権の売却方法の種類
それでは借地権の売却方法について、今回は5つご紹介していきます。
①地主に売却
まず一つ目に、地主に売却するという方法があります。地主に売却するとなると、新たに第三者である買い手を探す必要がないため、その分早く売却することが可能です。地主が借地権を買い取った場合、底地権と借地権の両方を地主が所有するということになりますので、借地権は消え、所有権は全て地主のものとなります。地主に借地権を売却する際は、売却を考えたらまずは不動産会社に相談をした上で、売却に関する条件を交渉します。そして交渉が成立したら、地主と売買契約を締結し、決済を行い、引き渡しといった流れになります。契約内容についての地主との交渉の際には、トラブルを防ぐために不動産会社を仲介として間に挟むことをおすすめいたします。
②第三者の個人に売却する
二つ目は、第三者に売却する方法です。第三者に売却するためには、前提として地主に承諾を得る必要があり、承諾を得るために「譲渡承諾料」という費用の支払いをします。この費用は、法律で定められているわけではありませんが、慣習的に借地の更地価格の約3〜5%にあたる金額を売却前の借地人が地主に対して支払います。
第三者に借地権を売却する際は、地主に売却の承諾を得た後、不動産会社に相談し、売却するための条件の交渉を行います。条件が決まったら新たな買い手と売買契約を結んだ後、譲渡を許可する書類として譲渡承諾書を地主から受け取り、最後に決済と引き渡しを行うという流れになります。
③不動産会社に売却
三つ目は不動産会社に売却する方法です。第三者や地主に売却する方法の他にも、不動産会社に買い取ってもらうことも可能です。不動産会社は、あまり買い手がつかなそうな物件や訳あり物件であっても買い取ってくれます。不動産会社に買い取ってもらえれば第三者の買い手を探す手間が省けますので、すぐに売却することが可能ですし、借地に建っている建物の解体費用が必要な場合も、売り手が負担する必要がなくなります。しかし、他の方法と比べると売却価格が安くなってしまいますので、少しでも高く売りたい場合には別の方法を選択する方がよいかもしれません。不動産会社に買い取ってもらうには、地主の承諾を得た後に不動産会社に相談します。そして売却の条件を交渉し、売買契約を締結すれば完了です。最短で10日間〜1ヶ月あれば手続きは全て終了します。このように、売買成立までが非常に早いというのが不動産会社に買い取ってもらうことのメリットといえます。
④等価交換して売却する
等価交換とは、同価のものを交換することです。つまり、借地権売買においての等価交換とは、地主の持つ底地権と、借地人の持つ借地権を等価分だけ交換するということです。そうすることで、地主も借地人もその土地に関して所有権を持つことになりますので、その状態での売却ですと、土地と建物をあわせて売却できることになりますので、買い手がつきやすくなるというメリットがあります。しかし、等価交換を行う場合、測量や登記をする必要があるため、その手間と費用がかかることを理解しておきましょう。
⑤底地と借地権を一緒に売却
五つ目の方法として、底地権と借地権を一緒に売却するという方法があります。底地権とは土地を所有している地主が持っている権利で、借地権とはその土地に建物を建ててよいとする権利でした。底地権と借地権を一緒に売却することで、それぞれを別々に売却するよりも高く売却することが可能になります。売買が成立した場合に代金をいくらずつもらうのかということを予め決めた上で売却代金を分割することになりますが、これも地主が底地権の売却を承諾していなければ成立はしませんので注意が必要です。
借地権を売却する際のポイントについて
それでは次に、借地権を売却する際のポイントについて解説していきます。
地主の承諾を得ること
借地権の売却にはいくつか方法がありますが、いずれにしても、前提として地主に借地権の売却を承諾してもらう必要がありますので、無断で売却を進めることがないように注意しましょう。
地主に売却のための許可を取ろうとした際に、第三者に渡すことになるのであれば自分で買い取ってしまいたいという地主も多くいますので、地主が買い手になるという可能性も十分にあります。売却する相手が地主であれば、スムーズに売却することができますので、借地権の売却を考えた際は、まず地主に相談してみることをおすすめします。
不動産会社に仲介を依頼
地主に借地権の売却を相談される際は、不動産会社に仲介を依頼するとよいでしょう。借地権を売却するには、前提として地主の承諾が必要になりますので、売却を承諾してもらえるのか、承諾してもらえる場合は売却金額をいくらにするのか、どのように売却するのかといったことを細かく交渉する必要があります。その際に第三者である不動産会社を挟むことによって話し合いをスムーズに進めることができますし、不動産会社はプロですので、専門家である不動産会社が仲介してくれるのであれば、より公平で正しい取引を行うことができるでしょう。
査定を複数の不動産会社に依頼する
借地権を売却するときは、いきなり不動産会社を訪れるのではなく、事前に複数の不動産会社の査定を受けるようにしましょう。複数の会社から査定結果を受け取って比較することで、より正確な相場を知ることができますし、査定結果だけでなく、担当者の対応なども比較することで、より優良な不動産会社と取引ができるようになります。
実績のある不動産会社を選択する
不動産会社の中にも得意、不得意がありますので、借地権を売却したい場合は、借地権の売買に関する実績を持っている不動産会社を選ぶことをおすすめします。借地権の売買に関しては特に、一般的な不動産の売買よりも手続きが複雑で、ノウハウが必要になりますので、過去に借地権の売買実績があまりない不動産会社を選択すると、うまく売却ができない可能性があります。よりよい条件で売却するためにも、借地権の売買に関する実績を持っている不動産会社を会社のホームページを参照するなどして調べておくとよいでしょう。
万が一、借地権の売却を承諾してもらえない場合はどうする?
借地権の売却を考えているけれど、地主の承諾をもらえず売却できないという場合もあります。そういった場合、裁判所に申立てをするという方法もあります。その場合「借地非訟」というものを行うことになり、裁判が上手くいけば、裁判所が地主の代わりに借地権の売却を承諾してくれるのですが、この方法にはデメリットもあります。
まずは弁護士費用がかかるということ。また、訴訟を起こしてしまっていますので、地主との関係は悪くなるでしょう。仮に裁判の結果、借地権売買の許可を得られたとしても、そこまでに8カ月くらいの期間がかかってしまいます。
借地非訟を行うには、費用、時間、人間関係の面でそれぞれデメリットがありますので、借地非訟はあくまでも最終手段として利用することを検討しましょう。
まとめ
今回は、借地権を売却する際に注意しなければならない点や、売却のポイントなどについて詳しく解説してきました。
借地権とは、土地を借り、そこに建物を建ててよいとする権利のことであり、売却する際は、一般的な不動産の売却とは異なりますので、
⚪︎まずは地主の承諾を得る
⚪︎不動産会社に仲介を依頼する
⚪︎複数の不動産会社に査定を依頼する
⚪︎実績のある不動産会社を選ぶ
といった点に注意しましょう。
過去に借地権の売却実績がある不動産会社に相談し、地主や第三者である買い手との仲介をしてもらうことで良好な関係のまま売買を進めていくとよいでしょう。
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